コトキジ KOTOKIJI

【連載】「文具は別腹」その63

手軽に自分色のペンが作れる

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#雑貨モノ知り #文具は別腹

甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋(つちはし)が、その使い心地も含めてご紹介していきます。(毎月第二金曜日・第四金曜日配信)

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これは「からっぽペン」という。確かにインクが入っていない。しかも中に入っているものも取り外され、まさにからっぽである。今、このペンが大変人気を集めている。私自身、この商品の存在は前から知っていた。しかし、まだ試したことがなかった。今回腰を据えて、この「からっぽぺん」と向き合ってみた。すると、これがすごく楽しかった。ちょっと想像以上だった。単に新しいペンを買って使うということをはるかに超えた楽しさに溢れていた。と同時に冷静に考えてみると、とても可能性を秘めたペンであるとも感じた。

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■ 思っていたよりもとても簡単だった

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今回は「おうちで楽しむ私のカラーインク作りキット」を使って、その魅力をお伝えしてみたいと思う。セット内容は、からっぽペン/細芯 2本、インク 5色(1色は透明)、調色用カップ 1個、インク空容器 2個、マドラー 2本。充実のセット内容で、これらを駆使することで様々な楽しさを味わうことができる。

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■ まずは、基本的な使い方をマスター

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4色あるインクを1色使ってからっぽペンにインクを入れてみる。ペンにインクを入れるというのは万年筆ではよくやっているが、今回のようなフェルトペンでは初めてだ。説明書に従い恐る恐るやってみた。

ブルーインクをペンに入れてみることにした。インクボトルのキャップを外し調色用カップにインクを入れていく。インクボトルの容器を押すとポタポタと出てくる。説明書によると、2.5mlでちょうど1本分のインクだという。

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綿芯というインクを溜め込む棒状のものをインクに浸す。すると真っ白だった綿芯はグイグイとインクを吸い上げインク色に染まっていく。これが毛細管現象というものだ。だいたい綿芯の8割くらいまでインクを吸い上げたところで引き上げる。全部吸い上げたいところだが、ぐっと我慢する。というのも吸い上げすぎるとインク漏れの原因になることもあるそうだ。

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インク色に染まった綿芯をペン本体の後ろからスルスルと差し込んでいく。そして尾栓をグイと押し込んでフタを閉める。これで完成だ。綿芯の外側はコーティングされているようで手を汚さずに簡単に完成させることができた。

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10秒ほどすると、白かったペン先がインク色にじんわり色づく。これで書けるようになる。サラサラと気持ちよく書いていける。さっきまで液体だったインクがペンを通じて文字に変化した。こんなに簡単でいいのだろうか、というくらいあっけなくペンが出来上がった。

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■ インクを調色してみる

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4色のインク、それに加えて透明インクを混ぜ合わせることで様々な色を作って、それを「からっぽペン」に入れることもできる。と言っても、どの色を組み合わせればいいのかよくわからない。基本的な調色は説明書に書かれている。さらに詳しい情報は呉竹の「からっぽペン」ウェブ(「ink café〜私のカラーインク作り〜」)にある。そこには84色の調色レシピがある。どの色をどれくらいの割合で混ぜればいいかがわかりやすく紹介されている。

私はその中で52番のネイビーっぽい色に挑戦してみた。それによると、ピンク×1、ブルー×3、グレー×4とある。数字はインクを垂らす一滴と考えればいい。さすがに一巡しただけでは一本分の2.5mlに満たない。2巡、3巡と繰り返し2.5mlになるよう繰り返す。

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マドラーでインクをしっかり混ぜ合わせ、先ほどと同じ要領で綿芯を浸して、ペンにセットしていく。思っていたネイビー色のペンが完成した。

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これは面白い。調子に乗って、さらに調色見本を頼りに78番のグレーも作ってみた。こちらのレシピは透明×6、グレー×2。私は普段鉛筆で書くことが多いので、それに近いグレーを作ってみたかった。色見本をベースにもう少し濃くしたり、明るくしたりなど自分なりのレシピで調色すればオリジナルインクを作る楽しさが広がる。

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調色用カップはその都度綺麗にする必要がある。このカップがよくできていてティッシュで拭くとすっきりときれいになった。

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■ 手持ちの万年筆インクでも試してみた

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私が試したのは、パイロットのブルー、ペリカンのロイヤルブルー、そしてプラチナ万年筆のミクサブルインクで作ったブルーグリーンの3色。先ほどのキットの他に「からっぽペン細芯5本セット」が別売りされている。これを使うといい。

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それぞれのインクを「からっぽペン」に入れて書いてみた。いつも万年筆で書いているインクがフェルトペンから出てくるのは新鮮だった。万年筆インクをたくさん所有している人は、インクを有効活用するよい機会になるだろう。なお、万年筆インクによってはインクの吸い上げが悪いものもあるそうなので、そこは自己責任の範囲で楽しみたい。

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こうしてみると、何も入っていないこの「からっぽペン」は大きな可能性がある。キットに入っているインクを調色してオリジナルインクを作って入れたり、手持ちの万年筆インクで楽しんだりと色々なペンを作ることができる。「何も入っていない」ということは、別な見方をすれば様々な色を入れられることでもあるのだ。作る工程も含めて大いに楽しめるペンだと強く感じた。ここ数年は自宅で過ごす時間も増えているので、このキットで自分色のペンを作って楽しんでみるのもいいと思う。

[呉竹 からっぽペン ほそ芯 5本セット 税込880円]
[呉竹 インクカフェ おうちで楽しむ私のカラーインク作りキット 税込3,300円]

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記事配信日:2021/05/28

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