甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋(つちはし)が、その使い心地も含めてご紹介していきます。(毎月第二金曜日・第四金曜日配信)
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このペンを見たとき、正直とても驚いた。
仕事柄いろんなペンを見てきた。そんな中これは衝撃的だった。なにせペン先が中央にないのだから。鉛筆をはじめ私たちの身の回りにあるペンのほとんどはペン先が中央にある。それが普通のことだと、これまでの人生を送ってきた。
ただその後、このジェットストリームエッジ3を手にとりじっくりと向き合ってみて見えてきたことがあった。この独特なフォルムは極細ゆえに編み出されたものであること、そしてこれがなかなか新鮮な書き味だったのだ。
■ 超極細多色ボールペンゆえのアシンメトリーペン先
三菱鉛筆では、すでに「ジェットストリーム エッジ」として0.28mmという超極細の単色ボールペンが発売されている。以前に「文具は別腹」でも取り上げた。今回はその3色ボールペンタイプである。単色の「ジェットストリーム エッジ」の流れをくむ、まさにエッジの効いたデザインだ。多色ということで幾分太くはなっているが、そんなに太いという印象は不思議とない。後ろ軸がシュッとスリムになっているせいかもしれない。
その後ろ軸をクルクルと回転させてみると、黒、青、赤ボールペンがカチカチと繰り出される。後ろ軸の先端を見ると、カラーインデックスがある。これをクリップ側に合わせるとその色が出てくる。偶然に任せてカチカチするのではなく、一発で出したい色にすることができる。
ペンを横から見るとペン先が中央より上側についている。これが先ほど触れた衝撃的な部分である。ペン先を繰り出してみると、その個性的なフォルムは一層強調される。そもそもなぜこのような形にしたのだろうか。
ペンを分解してみると、その理由がよくわかった。グリップ部分はそのまま引っ張るとスルスルと外れて、3本のリフィルがあらわになる。ちなみにリフィル交換はこの要領で行う。この状態のまま後ろ軸をカチカチ回転させてペン先を次々に繰り出してみる。すると、ペンが上の位置に移動しながら繰り出されて行くのだ。繰り出されたペンは一切曲がることなく前方に飛び出している。つまり、ペンを繰り出す時に曲げずに前方に出すためにあえて上の位置にしていたのだ。中央にしたらどうしてもペンが曲がってしまう。超極細ペンリフィルに負担をかけないための配慮だったのだろう。
■ 独特な書き味
書いてみると0.28mmということがたっぷりと感じられる繊細な線が書き出されていく。例えるなら線香花火のようだ。あまり筆圧をかけずにいつもより軽いタッチで書いた方が0.28mmの魅力を引き出せるような気がする。ペン先が中央にないという書き心地は、思ったよりも違和感がなかった。私は普段万年筆でよく書いている。万年筆はペン先を紙に対して一定の向きにしないとうまく書けない筆記具である。その慣れが私には染み付いているせいか、「ジェットストリーム エッジ3」でもそのライティングポジションを私は自然に探して書いていた。
しかしながら、「ジェットストリーム エッジ3」は万年筆のように特定の向きでないと書けないという訳ではない。そもそもボールペンは向きに関係なく書いていける筆記具である。試しに向きを反対にして書いてみた。これでも書けるには書けるが、見た目として違和感が残る。やはりペン先を上側にした方がしっくりくる。
さて、この「ジェットストリーム エッジ3」をどんなシーンで活用するとよいだろうか。たとえば、いつも使っているノートや手帳のペンとして使うことで、こまかく書いていけるので、いつもよりもたくさんの情報をたっぷりと書き込むことができる。限られた紙面にビッシリと書き込むというシーンで満足感が味わえるペンである。
[三菱鉛筆 ジェットストリーム エッジ3 0.28mm 各色 税込2,750円]
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記事配信日:2021/03/26