甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋(つちはし)が、その使い心地も含めてご紹介していきます。(毎月第二金曜日・第四金曜日配信)
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パイロットのVコーン水性ボールペン。根強いファンが多いボールペンである。私の知り合いの中ではコンサル系の仕事をされている方に愛用者が多い。速書きしてもカスレ知らずで意のままに操れるところがいいようだ。
私もこのペンには思い出がある。まだフレッシュだった新入社員の頃に(もう30年近く前になる)、よく使っていた。サラサラと気持ち良い書き味もさることながら、個人的に気にっていたのがボディ越しに見える中の液体インク。光にかざすとチャプチャプと液体インクが揺らいでいる様子が見え、忙しい仕事の合間にしばし癒されていた。
このパイロット Vコーン、これまではキャップ式だけだったが、ノック式がこのほど発売された。
■ ノックでより使いやすく
これまでのキャップ式と並べてみると、外観上でいくつか変更されているところがある。まず目につくのがクリップだ。これまではプラスチックだったのが、幅広いメタルクリップになっている。
そして握るところであるグリップもラバー仕様に。握り比べてみると、ラバーの方がやや太めになっている。そして最大の違いであるノックボタンが付いている。
■ 速書きしてもやっぱりカスレない
ノックボタンをカチッと押し込み繰り出されたペン先を紙の上に添えて書いてみる。水性ボールペン特有の紙にペン先のボールがダイレクトにあたっているコツコツという感触がある。これぞVコーンのタッチだ。ペン先を走らせると、そうそうこの感じというサラサラとした気持ち良い書き味がやってくる。
試しにこれまでのキャップ式の方と書き比べてみた。微妙なタッチもわかるように目をつぶり指先に全神経を集中させてそれぞれを慎重に書いてみた。するとほんのわずかだが違いが感じられた。キャップ式の方がペン先が紙にあたるコツコツ感がわずかに強い印象だった。タッチの感触は微妙に違うが、ひとたびペン先を走らせるとキャップ式もノック式もそれほどの差はないように感じられた。
試しに、よく万年筆で行う方法でも試してみた。ボディの自重だけで紙の上を動かして書いてみる方法だ。これは筆圧をほとんどかけない状態での筆記具合を確認できる。キャップ式はこの自重だけの状態でもインクがしっかりと出て書けたが、ノック式ではこの状態ではインクは出なかった。実際の使用シーンとしては、こんな軽い筆圧で書くことなんかない訳だが、微妙に違うということは明らかなようだ。
そうそう、以前私が仕事に合間に楽しんでいたボディ内部の液体インクのチャプチャプはノック式ではできない。そもそもノック式のインクは液体にはなっていない。
ノック式Vコーンでは、0.5mmと0.7mmから選べる。
とここまで細かな書き心地をタッチも含めて見てきたが、普段使いする上ではノック式もキャップ式もほとんど違いは感じられなかった。なによりサラサラと速書きしてもカスレ知らずに気持ちよくかけるVコーンライティングをノック式でも楽しめるようになったことは喜ばしい。じっくりとアイデアを練る時にはキャップ式で書いて、外に持ち出して使う時はノック式という風にVコーンを使い分けてみるのもいいと思う。
[パイロット Vコーンノック 0.5mm・0.7mm 各色 税込165円]
[パイロット Vコーン 0.5mm 各色 税込110円]
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記事配信日:2020/10/23