コトキジ KOTOKIJI

【連載】「文具は別腹」その51

もう一度鉛筆を手にしたくなる

twitterfacebook

#文具は別腹 #雑貨モノ知り

甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋(つちはし)が、その使い心地も含めてご紹介していきます。(毎月第二金曜日・第四金曜日配信)

       *****

私は日頃から鉛筆をよく使っている。ノートにアイデアを書き出す時、不意に思いついたやるべきことをメモする時など、ボールペンではなく鉛筆をよく使う。私が感じる鉛筆の良さは、たとえば手にした瞬間にすぐ書き出せる起動性。ノックボタンを押したり、キャップを外したりといったひと手間がなく直感的に使えるところがいい。

img_item_kotokiji_sub_01

とりわけペンスタンドから取り出して書くときには、そのありがたみがひしひしと感じられる。また筆跡に強弱がつけられる良さもある。軽い筆圧で薄く不確かに書いたり、親の敵とばかりに力を込めて濃く強調して書いたりなど、力加減ひとつで自由自在に書く内容のニュアンスを表現していける。なによりザッザッと紙の表面をダイレクトに感じられ、「書いている」と心から実感できる。

そんな私の鉛筆ライフの中で、今よく使っているのがBLACKWING(ブラックウィング)の鉛筆だ。

img_item_kotokiji_sub_01
img_item_kotokiji_sub_01


■ 伝説の鉛筆

img_item_kotokiji_sub_01

BLACKWINGは1930年代誕生とその歴史は意外と古い。BLACKWINGには同ブランドを代表する602というモデルがある。発売当時の他の鉛筆より高価格であったが、その書き味の良さから多くのユーザーから支持された。その中には作家のジョン・スタインベック、作曲家・指揮者のレナード・バーンスタインなどのアーティストもいたという。人気を博していたBLACKWINGだったが、1988年に惜しまれつつ生産が終了された。その後多くのユーザーからの要望もあり2010年に復活を遂げ現在に至っている。

代表モデルのBLACKWING602には当時から軸に以下の刻印があり、それは復刻された今も残されている。

img_item_kotokiji_sub_01


「HALF THE PRESSURE, TWICE THE SPEED」

「半分の筆圧で、2倍のスピード」

img_item_kotokiji_sub_01

多くのユーザーを魅了したなめらかな書き味を表した言葉だ。

■ 消し甲斐のある大きな消しゴム

img_item_kotokiji_sub_01

新品のBLACKWINGをはじめて手にすると、少し違和感を覚えるかもしれない。一般の新品の鉛筆と同じ長さがあり、それに加えて大きな消しゴムが付いているのでさらに長い。それも使って削っていくうちに、すぐに程よい長さになっていく。はじめは長いと感じる消しゴムだが、使っていくうちにそのありがたみがしみじみと感じられてくる。

img_item_kotokiji_sub_01
img_item_kotokiji_sub_01

平べったい四角をしているので消しやすい。鉛筆で書いて軸を反対に持ちかえてゴシゴシと消す動作は、フリクションボールペンの愛用者ならいつもやっていることなのですぐに馴染めることだろう。

この消しゴムがとても良くできている。減っていったら消しゴムを固定している両端のつまみに指をかけて引き出して使っていけるのだ。

img_item_kotokiji_sub_01
img_item_kotokiji_sub_01

鉛筆に完全に固定されている消しゴムだと鉛筆を使い切る前に消しゴムの方が先になくなってしまうこともあるが、BLACKWINGならたっぷりと消していける。それでも付属の消しゴムを先に使い切ってしまったら、替えの消しゴムが別売りされているので、それをセットすればいい。

img_item_kotokiji_sub_01


■ 日本製の上質な芯を採用

img_item_kotokiji_sub_01

書いてみると、なめらかさがある。芯を支える木軸の木肌もとてもなめらかで、さぁ書くぞという筆欲が高まる。BLACKWINGには、HBやBといった硬度表記がない。BLACKWINGのウェブによると、602は「ファーム」となっている。私の印象としては、HBのBよりのなめらかさといったところだ。マットブラックは「ソフト」となっており、その名のとおりのなめらかさに満ちていて、2Bや3B、いや4Bと言ってもいいくらいかもしれない。パールホワイトは「バランス」で、ちょうどその2本の中間的書き味。

img_item_kotokiji_sub_01


■ 存在感タップリのキャップ

鉛筆は芯がむき出しの状態だ。だからこそ、すぐに書き出せる良さがある訳なのだが、外に持ち出して使う時は芯が露出したままだと折れてしまうこともある。BLACKWINGは純正のキャップ「ポイントガード」が別売りされている。鉛筆キャップとしては少々高めの1,400円+Tax。ただ、納得の質感になっている。メタル製でほどよい重量感がある。鉛筆キャップでよくやるのが、書く時にキャップを鉛筆の後ろにさすということ。ただ、BLACKWINGでは、後ろに消しゴムがあるので、それはできない。あくまでも芯先を守る「ポイントガード」としての役割である。

img_item_kotokiji_sub_01
img_item_kotokiji_sub_01

鉛筆は誰しも使ったことがある筆記具ではあるが、大人になるとあまり手にしなくなってしまう。このBLACKWINGは歴史的なストーリーも感じられ、なにより大人っぽいデザインでもある。「鉛筆再デビュー」するのにピッタリだと思う。

img_item_kotokiji_sub_01

[BLACKWING 鉛筆 各種 税込352円~]
[BLACKWING ポイントガード 各種 税込1,540円]
[BLACKWING 替え消しゴム10個入り 白 税込1,100円]

ご紹介した商品は、全国のロフト各店舗・ネットストアにて取扱っております。取り扱い内容は店舗により異なる場合がございます。詳しくはご希望の店舗までお問い合わせください。
これまでの「文具は別腹」連載バックナンバーはロフトアプリ外、ネットストアの特設ページにてまとめてご覧いただけます。

※営業時間を短縮している店舗もございます。各店舗の営業状況につきましてはロフト店舗情報をご確認ください。なお、現時点で店舗情報に記載されていない店舗におきましても、今後変更となる可能性があるほか、情勢に応じて適宜変動する場合がございます。

記事配信日:2020/11/13

PageTop