コトキジ KOTOKIJI

【連載】「文具は別腹」その48

心地よい重みのボールペン

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#文具は別腹 #雑貨モノ知り

甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋(つちはし)が、その使い心地も含めてご紹介していきます。(毎月第二金曜日・第四金曜日配信)

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今やすっかりボールペンの中でお馴染みになっている「なめらか油性インク」。水性のサラサラとしたなめらかさとは違い、油性ならではのややまったりとしたものがある。そのなめらかなインクを重量感のあるボディで書いたらさぞかし気持ちいいことだろうと、かねがね思っていた。そんな中、ロフトの店頭でカプセルに入った「アンテリック」というブランドのボールペンを見つけた。それこそ、私が求めるなめらかな書き味を重量感とともに楽しめるものだった。

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■ 削り出された真ちゅうの程よい重量感

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どこか懐かしさを感じさせるボディデザイン。ノックボタンとクリップの根元が息を合わせるように斜めにカットされている。

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ボディの半分以上の長さのあるペン先側には真ちゅうが使われている。真ちゅうは「黄銅」とも呼ばれる通り、まさにその素材のままの色合いを残している。やや細身に見えるボディだが、手にすると意外とズシリとくる。重さは26g。一般的なプラスチック製の単色ボールペンは、多少幅はあるが大体9〜13gのものが多い。それらに比べると倍くらいあるのでかなり重い方だ。重いとは言っても決して重すぎるということはなく、あくまでも心地よさがある。

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そして、このボールペンでもう一つ特筆すべきはノックの押し心地だ。親指で押し込むとカチッというクリック感が指先に残る。言葉でこの感触をお伝えするのはなかなか難しいが、たとえるなら、精密機械のスイッチを押し込んだような感じ。パーツとパーツに余分な隙間がなく収まるべきところに収まったというしっかりとした感触、そして音なのだ。プラスチックボディのボールペンとはちょっと違うものがある。

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■ 重みを味方につけたか書き心地

カチッとノックして真ちゅうボディを優しく握ってみる。この真ちゅうボディは、パッと見では表面に特段加工されているようには見えないが、握った時に程よく指先に吸い付いていくる。これは何かあるに違いないとルーペで拡大して見てみた。するとやはり細かなスリット状の加工が幾重にも表面に加工されていた。きっと指先の指紋とこの細かなスリットがフィットして握った時のあの吸い付く感触があったのだろう。

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ルーペを置いて、改めて握ってみる。筆記体勢に入って感じるのは、ボディの低重心。ペンで言う所のこの「低重心」とは、ボディのペン先側がやや重くペンの重心が前にあるものだ。やじろべいみたいに指先でバランスをとってみると、その低重心具合がよくわかる。

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このペンは肉厚の真ちゅうを使っているため一般のボールペンよりさらに低重心になっている。そのため、ペンを握ると自然とペン先が下を向く。わざわざ書き手の方がペンを下にしなくてもペン自体が下を向いてくれるのだ。

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そして、いよいよ書いてみる。超低粘度油性インク(マッハボール)が使われているというその書き味は、油性インクならではのまったりとした感触はわずかに残しながら、なめらかに紙の上を進んでいく。筆圧はいつもよりも半分くらい、いやそれ以下でもいいかもしれない。軽くペンを添えるくらいでも、このボールペンの程よい重みを味方につけて気持ちよく書いていける。

ペン先は0.5mmと極細なので色々な用途に使っていけそうだ。重量感+なめらかインクの相乗効果が味わえる新鮮なボールペンである。

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[アンテリック ボールペンブラス 各色 税込1,650円]

ご紹介した商品は、全国のロフト各店舗・ネットストアにて取扱っております。
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記事配信日:2020/09/25

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