コトキジ KOTOKIJI

【連載】「文具は別腹」その30

超メカニカルなシャープペン

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#文具は別腹 #雑貨モノ知り

甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋(つちはし)が、その使い心地も含めてご紹介していきます。(毎月第二金曜日・第四金曜日配信)

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2017年に鮮烈なデビューを果たした「オレンズネロ」。

あまりの人気ぶりで発売直後はロフトの店頭でも並んでいるところをなかなか見かけることができないほどだった。価格は3,000円というシャープペンにしては相当高めではあるが、これまでにない筆記体験を味わえるこだわり満載なシャープペンである。

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■ 手が喜ぶ質感

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ツヤ消しブラックボディは、樹脂と金属を混ぜ合わせた特殊な材質を使っているという。なるほど手にすると、これまでのシャープペンではちょっと味わったことのないマットな質感がある。12面体あるグリップにはメカニカルパーツを思わせる細かな溝がある。握ってみるとズシリとくるほどではないが、確かな重量感がある。マットな指触り、そして程よい重みが、書く前から「ただ者ではないぞ」という期待を大いに盛り上げてくれる。

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■ これまでにない使い方

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オレンズネロは、シャープペンの芯の太さが0.2mmと0.3mmの2タイプが設定されている。いわゆる極細芯だ。この細い芯であっても、快適に書いていける機構「オレンズ システム」を搭載している。そのため、これまでのシャープペンとは少し違う使い方をしていく必要がある。とは言っても、余計なことはしない。むしろこれまでより行う作業は少ない。

さぁ書こうとして、まずノックボタンを一回押し込む。ペン先からカチンとシルバーのガイドパイプが繰り出される。ふつうならば、そこからさらに2回ほどカチカチとノックをして芯を程よく出していく。しかし「オレンズ システム」では、先ほどのガイドパイプを出しただけの状態でいいのだ。つまり、ノックは1回だけ。このまま書いていく。芯が出ていない状態では書いていけないのでは、と思われるかもしれない。しかし、ちゃんと書いていけるのだ。

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芯は外側に飛び出してこそいないが、ガイドパイプの先端ギリギリまできている。書こうと紙の上にペン先をあてると、ガイドパイプがスライドして芯がわずかに露出される。この状態で書いていけるのだ。芯の減り具合に合わせてガイドパイプがスライドし続けて芯がほんの少しだけ出ている状態を維持してくれる。

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この様に極細芯の大半をガイドパイプで守りながら書いていくというスタイル。これにより極細芯であっても折れづらくしている。この「オレンズ システム」は、すでに発売されている「オレンズ」ですでに搭載済みだ。

「オレンズ ネロ」では、さらに進化を遂げている。

書いていて、ペン先を紙から離すたびに芯が自動で適切な長さだけ出て来るのだ。ペン先を離すと言っても、特段意識する必要はない。私たちが日頃書いている日本語は画数が多い。一画ごとに紙からペン先を離すことで、その都度「オレンズネロ」では芯が出続けてくれているのだ。だからあくまでも普通に書いていけばいい。つまり、書きはじめにガイドパイプを出す時のワンノック以降は、ノックをする必要がなくなるという訳なのである。

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ガイドパイプからほんのわずかだけ出ている芯で書いていく書き味は、ペンを立てて書いていく分には自然な印象がある。ほどよい重量感のあるボディは、ペン先側がやや重い低重心になっているので、筆記時のバランスもよい。ただ、ペン先を少し斜めにして書くと、ガイドパイプが紙をこする感覚が少しあると個人的には感じた。

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書き終わって、ガイドパイプを収納しておく時は、ノックボタンを押し込んだままペン先を紙に押しつけていけば引っ込めることができる。ちなみに、指先に押し込んでこれをやろうとするとちょっとしづらい。極細芯のガイドパイプなので使わない時はこのように収納しておく方がいいだろう。

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その収納状態からノックをしてガイドパイプを出す時にカチッというメカニカルな音・感触が味わえて個人的には好きだ。

シャープペンは、英語で「メカニカルペンシル」と言う。たくさんのメカパーツが使われていて、それらが適切に作動して芯がカチカチと出てくる。今回の「オレンズネロ」は、自動で芯を出す機構を搭載するなど、その上を行くメカニカル感が味わえる。ノックをいちいち押さなくても書き続けられるという機構は、シャープペンヘビーユーザーにはうれしい。勉強をする時、会議のメモを書く、アイデアを練る時など、ノックに惑わされずにひたすら書き続けることができる。その意味では、思考をとめないシャープペンとも言える。

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[ぺんてる オレンズネロ 各種 税込3,300円]

ご紹介した商品は、全国のロフト各店舗・ネットストアにて取扱っております。
これまでの「文具は別腹」連載バックナンバーはロフトアプリ外、ネットストアの特設ページにてまとめてご覧いただけます。

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コラム「文具は別腹」がアプリを飛び出し、吉祥寺ロフト 文具売場に出張中!これまでの連載でステーショナリーディレクター 土橋正さんにご紹介いただいた、売場の片隅にひっそり並んでいるロングセラーやおすすめの文具を多数取りそろえています。ぜひこの機会にお立ち寄りください。

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記事配信日:2019/10/25

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