コトキジ KOTOKIJI

【連載】「文具は別腹」その20

フィールドワークが得意なボールペン

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#文具は別腹 #雑貨モノ知り

甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋(つちはし)が、その使い心地も含めてご紹介していきます。(毎月第二金曜日・第四金曜日配信)

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「フィールドワーク」

もともとは「現地調査」という意味らしいが、「フィールド」とは現場という意味でもあるので、現場仕事という風に捉えることもできると私は思う。「フィールドワーク」とは、たとえば工場や売場など色々な現場で行われる仕事である。つまり、机から離れての仕事ということになる。このボールペン「エアプレス」はそのフィールドワークを得意としている。

■ ボールペンの上向き筆記問題

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意外と知られていないが、一般のボールペンは上向き筆記をしてはいけないとされている。説明書などを見ると、そう書いてあることがある。上向き筆記とはペン先を上に向けて書くということだ。そんなペン先を上向きにして書くなんて、していないと多くの人は言うかもしれない。しかし、私たちの身の回りにはこの「上向き筆記」の魔の手は、知らず知らずのうちに忍び込んでいるのだ。たとえば、手帳やメモを手に持って書く時を思い浮かべて欲しい。紙面が少し斜めなっているので、そこに書くペン先は少し上を向いてはいないだろうか。ペン先が完全に上を向いていなくても平行でもいけないのだ。

そもそもボールペンのインクは、重力で下に行く構造なので少しでもペン先が上を向くとインクがペン先に行きづらくなり、かすれたりインク漏れの原因にもなってしまうこともある。それを防ぐために予めリフィルを密閉して内部に圧縮空気を入れているものもある。このタイプなら上向き筆記は可能となる。

■ ノックで加圧

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この「エアプレス」のリフィルは、特に密閉などされていないごく普通のものが使われている。なのに上向き筆記ができてしまうのだ。それを担っているのがノックによる加圧。

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ノックをすると、内部のピストンが加圧室というものを押しつぶして、リフィルの中に圧縮空気を送り込んでいく。と説明すると、ノックはさぞかし重いのだろうと思われるかもしれない。しかし、予想に反してとても軽やかなのだ。

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ノックをした時にクッションのようなものを押しつぶしている感触がかすかにある。ご親切にその加圧する模様が外から見えるように窓も用意されている。

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このノックを押し込んだ時も心地よいのだが、私はもう一度ノックをして加圧を解除する時の方が好きだ。ノックをし終わった瞬間に「シュポッ」というかすかな音が聞こえる。あぁ今、加圧されていたものが解き放たれたんだなと思いを巡らせられる。

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また、ワイヤー式クリップは付け根が少しずれている。これがフィールドワークにとても便利。クリップは広げやすくなっていて、クリップボードなど厚めのものにもはさみやすい。

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こうして加圧することで、思う存分上向き筆記、そして速書きをしても、さらには湿った紙面に書いてもインクはかすれない。フィールドワークのいざという場面を支えてくれるヘビーデューティなボールペンである。もちろん、通常の下向き筆記も快適に行える。

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[トンボ鉛筆 エアプレス 税込648円]

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記事配信日:2019/05/24

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