甘い物はいくらでも食べられるように、文具もいくらでも買ってしまう「文具は別腹」な方々。そんな皆さんの別腹を大いに刺激する文具コラム。ステーショナリー ディレクターとして色々な文具を見てきた私、土橋（つちはし）が、その使い心地も含めてご紹介していきます。（毎月第二金曜日・第四金曜日配信）

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仕事などでよく手にする「蛍光マーカー」。

資料など、たくさんの情報の中でここは重要！という所にマーカーをしていく。ハイライターとも言うこともあり、その役割は情報をピンポイントで目立たせることだ。このペンはその蛍光マーカーとは全く逆で、情報を目立たなくさせることを得意としている。目立たなくさせるなんて、普段の仕事で使うだろうかと怪訝に思われるかもしれない。これが、意外に便利なのだ。

■ 情報の存在を沈み込ませる

これは、グレーのマーカーである。私はこんな用途で使っている。それは、ToDoリスト。やるべきことをいくつもリストアップしていき、ひとつひとつ片づけていく。終わったToDoをこのグレーのマーカーで消しこんでいくのだ。塗ってみるとわかるが、まだ残っているToDoよりもひと段階くらい情報が沈み込んで目立たなくなる。と同時にToDoが終わった！という印象にもなるのである。

以前、私は終わったToDoを消し込むのに、文字の上を塗るのは蛍光マーカーに決まっているじゃないかと何の疑いも抱かず、それを使っていた。しかし、終わってもはや見なくていいToDoが逆に目立ってしまった。目立つべきは、これから取り組むべきToDoであるのに、私は全く逆のことをしてしまっていたのだ。

このグレーのマーカーは、「終わった」＋「目立たなくさせる」という仕事を見事にこなしてくれる。わざわざマーカーを使わなくてもボールペンで線を引いて消し込むという方法もある。でも、それでは元の文字が読みにくくなってしまう。このグレーのマーカーは下の文字もしっかりと読める点も都合がよい。

■ 消し込み具合を変えられる

このグレーのマーカー、さらに便利な使い方がある。

グレーの濃さを調整できるのだ。一度塗った時、二度塗り、三度塗りした時でグレーの濃さに違いが出せるのだ。たとえば、ToDoが完了したら、一度塗り、急遽そのToDoをやらなくてよくなったら、三度塗りして区別をできるようにするといったこともできる。ちょうどエクセルで「網掛け（あみかけ）」する機能があるが、そのようなイメージだ。

最近、手帳のフォーマットでも注目を集めている「ガントチャート」という「工程表」がある。複数のプロジェクトの進行具合をこのグレーのマーカーで塗って、今どれくらい進んでいるかを把握するのにもいいと思う。

■ カラバリも豊富

この「マイルドライナー」には、実はグレー以外にもたくさんの色が揃っている。いずれも蛍光マーカーとは違い、落ちついた色合いであるのが特長。これらはほどよく目立たせるのによい。手帳やノートなど、あまり目立たせたくないときに便利に使える。

私は色々なペンを用途別に使い分けている。多機能ペンを一本持って全ての書くをこなすこともできる。しかし、私は一つ一つの書くシーンをじっと観察して一番しっくりとくるペンを選びその都度持ち替えている。今回の消し込むシーンでも、このグレーのマーカーやグレーの色鉛筆などを使っている。目立たなくさせるという少々地味な仕事を担うペンではあるが、仕事の中で消し込むシーンは結構ある。こうした消し込むペンをひとつ持っていると便利だと思う。

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記事配信日：2019/01/11