コトキジ KOTOKIJI

シュールなイラストとともに綴られた 観光名所に伝わる昔話

おはなしらべ②

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#ついつい集める○○ #胸キュン文具 #ステーショナリー

連載記事としてご紹介中の、日本の観光名所を描いたイラストとその土地の昔話を組み合わせた「おはなしらべ」。

ときに不思議で、ときに笑えて、ときにやさしい「おはなしらべ」の昔話から、ひとつのお話をご紹介いたします。

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「城の里のミケ猫」(大阪 大阪城の昔話)

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昔、お城の里に、たいそう猫好きのお婆さんがいた。 
捨てられた猫を拾ってきては面倒を見、名前をつけてとても可愛がっていた。

一番古い猫は八歳になるハナというミケ猫で、お婆さんはハナをそれは大事にしていた。

ハナが九歳になった時のこと、お婆さんがお祝いに鯛のお頭(かしら)を魚屋からもらいうけ、早速七輪にかけて焼いた。ハナに食べさそうとハナを呼ぶがその姿が見えない。お婆さんはハナを探したが見つからない。

それから何日も何日もハナを探したが遂に見つからなかった。
お婆さんは猫たちを近所の親しい家に預け、ハナを探す旅にでた。

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里を探し、野原を探し、幾日かの夕暮れに山に入った。ハナはここにもいなかった。
お婆さんは他の猫たちも気になり、ハナのことを諦めて家に帰ることにした。

しかし、山から下りる道がわからなくなってしまった。夜になり、ますます道がわからなくなった。
山の夜は寒く、お婆さんは心細くなった。

すると、遠くに灯りが見えた。疲れた足でお婆さんがたどり着くと、大きな一軒家で、見ると入口にきれいな女性が立って手招きしている。
「山に迷われた方ですね。大変でしょう、どうぞここにお泊りになってください」
どうやら旅籠のようであった。
お婆さんはありがたく泊めさせてもらうことにした。

女性はお婆さんを部屋に案内すると、食事を用意してくれ、
「温かい風呂につかってからお休みください」と言って部屋からでていった。

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お婆さんが身支度をとき、食事の前に風呂場に行こうと廊下に出ると、いきなり手が延びてお婆さんの口をふさいだ。
みると、お婆さんの口をふさいでいるのは、これまた美しい女性が涙をためた目でお婆さんを見つめている。

お婆さんはその女性を見ると思わず涙がぽろぽろこぼれ、声にならない声で叫んだ。
・・・ハナ!ハナだね?!・・・
目の前にいる美しい女性は人間の姿をしているけれども、間違いなくお婆さんのハナだった。

ハナは唇に指をあてて「声をださないで」と合図すると、おばあさんを別の部屋に入れた。
「お婆さん、この家は猫の家です。九年生きて寿命を迎えた猫が『猫のあの世』に行くために支度をするところなのです。
そして、山に迷った旅人をここに泊めて食べてしまうところなのです」
お婆さんはびっくりした。そして愛しいハナが寿命で天に召されるのだと理解した。
ハナは明日の朝に天に昇るという。

ハナはおばあさんに
「食事もしてはだめです。お風呂もだめです。声をださずにじっとここで待っていてください」と言い残して廊下に消えた。

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お婆さんは言われた通り、何も食べず、じっと部屋で座っていた。朝日があがり、白い着物をまとったハナがやってきた。
「さあ、お婆さん、猫たちが支度をしている今です」ハナはお婆さんの手をとって、家の裏口に案内した。
「この下手を行き、しばらく行くと人間の里があります。どうぞ足元に気をつけて行ってください。
そしてお婆さん、今まで本当にありがとうございました。ハナはとても素敵な一生を送ることができました。お婆さんもいつまでも長生きしてください」
ハナはそう言って家の中にもどった。

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お婆さんはハナが気になり、そこを立ち去らずに家の陰から家の様子をみていた。

しばらくして、家の外に白い着物を着た女性たちが十人現れた。
彼女たちは手をつなぎ丸くなって天を見上げている。天に召される猫たちの姿だった。
その中にはハナの姿もあった。
白い女性たちはゆらゆらと左右に動いていたかと思うと、空に向かって吸い込まれるように宙に上がり、白い着物の裾をひらめきさせながら、やがて白い霧となって消えていった。

お婆さんは嗚咽をこらえながらハナの消えていく様を見届けた。
ハナの最期を見届けたお婆さんは、心からハナの冥福を祈り、その後無事に家に帰った。

というお話。

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シュールなイラストが印象的な「おはなしらべ」のポストカードは、全16柄(2014年5月時点)。

実は イラストの中に、"物語の主役"とお話を拾い集めに奔走する「ねずみ小僧」が必ず描かれているのだとか。

昔話は日本語のほか、英語・韓国語・中国語と4か国語で掲載されていいて、海外の方へのお土産にもぴったり。
昔話で日本の空気を感じてもらったあとは、一緒に「ねずみ小僧」探しに興じてみても楽しそうです。

提供:ロンド工房
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記事配信日:2015/05/24

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