コトキジ KOTOKIJI

シュールなイラストとともに綴られた 観光名所に伝わる昔話

おはなしらべ①

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#ついつい集める○○ #胸キュン文具 #ステーショナリー

日本の観光名所をイラストポストカードにし、その土地の昔話を読み物として同封した「おはなしらべ」シリーズ。

その物語は、世界昔話評議会日本支局会長の九尾猫会長が、三百年に一度の昔話百科の編修のために、弟子の「ねずみ小僧たち」に日本各地の昔話を探しに行かせるところから始まります。

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日本中に繰り出した「ねずみ小僧」たちが、それぞれの街かどや通りの隅から拾い集めたお話の数々。
その一部を、イラストと合わせ、3回の連載記事としてご紹介いたします。

ときに不思議で、ときに笑えて、ときにやさしい「おはなしらべ」の世界をお楽しみください。

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「三つ目小僧」(大阪 道頓堀の昔話)

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昔、堀川でいんちき見世物小屋をする親方がいた。
腰から下に魚のはりぼてを付けた「人魚」や、顔や腕にうろこの模様を書いた「蛇女」。
どうにもこうにも奇妙な造りものだが、暗い小屋の中で見たら、それらしくも見え、なかなか流行っていた。
しかし、日が経つにつれ人々にだんだん飽きられてお客がめっきり減った。
はてさて困ったのはごうつくな親方だ。
何か新しい出し物をと、親方は考えた。
はた、と膝を打つ。
おお、良い案が浮かんだぞ!

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親方は、小屋の掃除をさせている小僧を呼んでこういった。
「よし、お前、三つ目になれ!」
小僧はびっくりした。
「お前のでこに目玉を一つつけて、三つ目小僧だ!」
親方は嫌がる小僧の額に、はりぼての目玉をはりつけた。
「これはいい!これはいい!わはは、明日からお前は三つ目小僧だ!
『三つ目小僧』の見世物だ!」
と大笑い。
小僧は泣きそうになった。
人様をいんちきでだますことに嫌気がさしていたのに、自分が見世物になるなんて。
小僧は自分の額につけられた目玉が嫌で嫌で仕方がない。
明日が来るのが恐ろしい。

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困り果てた小僧は、夕刻、親方の所をそっと抜け出し、切れ者で有名な近所の大店の番頭さんを訪ねた。
番頭さんは泣き顔の小僧が突然訪ねてきたことで驚いたが、すぐに事の次第を聞いてあげた。

番頭さん、小僧の話を聞くと
「そうか、嫌なもんにさせられるのは可哀そうだ。何かいい案はないものか」
と小僧のために頭をひねった。
ほどなくして番頭さんが口元をほころばせて
「いつも人をだましている親方を、どれ、ひとつだましてみよう。これは面白いことになりそうだ」
そういって一計を案じてくれた。

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番頭さんは早速丁稚(でっち)たちを集めた。
事情を聞いた丁稚たちは、
「可哀そうな小僧さんをおいらたちも手助けしよう!」
と、番頭さんに言われた通り、それぞれ額に紙で作った三つ目を付けて、道頓堀の掘止めにある洞窟の中に隠れた。

小僧は小僧で番頭さんに言われた通りに親方の所に帰り、こう言った。
「親方、三つ目をどこから連れてきた、とお客さんに説明するのですか?
いきなり三つ目をつれてきてもどんな口上(こうじょう)にしましょう?
ほら、堀川の掘止めに洞窟があります。
そこに住んでいた、というのはどうでしょうか?」
親方は
「ふむ。それはいい、本当らしくなるぞ、よしよし」
と大きく頷く。
小僧は更に
「今からそこにいって、誰かが住んでいた細工をしてはどうでしょう?」
と提案した。
親方は「おお、それはいい案だ、どれ今から早速行ってみよう」
と腰を上げると、ござだの、草鞋(ぞうり)だの、茶碗などを集めた。
人目につかぬよう、たっぷり日がくれたのを見計らって提灯をともして親方は小僧と一緒に掘止めに出向いた。

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やがて、洞窟につき、親方が「では早速支度をしよう」と中に入っていった。
すると、すぐに親方の悲鳴が洞窟の奥からなり響いた。
「うわあああ!!」
洞窟の中から親方が慌てて飛び出してきた。
見ると、親方の後ろから三つ目小僧が追いかけてくる。
次から次へと三つ目が現れ、大きな声で叫ぶ。
「お前の腹が読めるぞ!私らを見世物にしようとするというのがお前だな!」
「お前を私たち三つ目の国に連れて行き『二つ目男』として見世物にしてやる!」
「いや、頭に三つ目を彫ってやれ!」
親方は両手を合わせて
「後生です!ゆ、ゆ、許してください!申し訳ありません!」
とぶるぶる震えてしゃがみこむ。
「それが嫌なら三つ目を見世物にするな!」
三つ目たちの恐ろしさに親方は頭を地面にすりつけながら
「いや、三つ目を見世物になんて絶対にしません!」と約束した。
「そうか、ならばよい。十数えたら顔をあげろ」
三つ目たちはそう言って闇に消えた。
しばらくして親方が顔をあげると三つ目たちの姿は消えていた。
親方はすっかり怖くなった。

こうして小僧は三つ目にならずにすんだ。

というお噺。

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シュールなイラストが印象的な「おはなしらべ」のポストカードは、全16柄(2014年5月時点)。

実は イラストの中に、"物語の主役"とお話を拾い集めに奔走する「ねずみ小僧」が必ず描かれているのだとか。

昔話は日本語のほか、英語・韓国語・中国語と4か国語で掲載されていいて、海外の方へのお土産にもぴったり。
昔話で日本の空気を感じてもらったあとは、一緒に「ねずみ小僧」探しに興じてみても楽しそうです。

提供:ロンド工房
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記事配信日:2015/05/17

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